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自分の横顔が好きではありません  02.07.18 up
こんにちは。インターネットで斎藤さんの事を知り、このページを度々訪れるようになりました。私の悩みは「横顔」です。こういう事を自分で言うのは何なのですが、私は正面から見た顔は「スッピンでも可愛いね」と言ってもらえる顔立ちです。でも、自分では分かっているんです。横顔がとても不細工なこと。顔が小さいから、そのぶん顎が足りなくて引っ込んでいるし、口は飛び出ているし、額は顎より低いし、頬骨は変な位置が高いし……。いくら人に「可愛いね」と言ってもらえても、むしろそう言ってもらえばもらうほど、横顔を人に見せるのが恐いのです。その為たとえ前から見て、たいしてキレイではなくても横顔がキレイな人=本当の美人、という考えが強く、自分は本当は全然キレイじゃないんだ、という思いがあります。斎藤さんも、前にエッセイで書いていらっしゃいましたよね。人は、正面からの顔より、横顔をさらしている 時の方が多いと。私も同感です。だから、できるだけ横顔をさらさない位置にいつも行ってしまいます。

骨格の差か、男性に横顔がキレイな人が多いのもコンプレックスです。好きな男性がいて、皆に「貴方なら大丈夫。釣り合うよ」と言われても、あの人はあんなにキレイなのに、私は……と引け目を感じてしまいます。日本人だから仕方ないと思う反面、どうしてもコンプレックスから抜け出せません。 骨格の悩みは整形手術しか無い、とも思いますが、やはりそこまではしたくありません。 「90秒ボディメイク」という、自分で骨格矯正ができる本を買ってみて、試してみたところ、自覚していた以上に骨格が歪んでいるのが分かりました。エクササイズのお陰で少し、頬骨の辺りが目立たなくなりました。学生の身分では高額な費用は払えないので、顔の骨のズレを矯正してもらえる整体院を発見し、只今通っております。頬の張りは、骨を正しい位置に矯正する事で、以前よりは改善されました。しかし、やはり横顔の扁平さや、顎より口が出ている等の点は、やはり自分でも嫌いなままで、できるだけ横顔は人に見せたくないです。 前から見て誉めてくれる人もいるのだから、こんなのはひねくれた考えなのかもしれませんが、気を抜き過ぎているよりはいいかな、と思ったり……。でも、こんな事を気にしているのもどうかと思ったり。 口にこそ出しませんが、他の人が可愛いと言う芸能人もあまりキレイだとは思えませんし、多分、私は美に対してかなりシビアなのだと思います。その分、自分にも鉾先が向いてしまうのかもしれません。

また、男の人とほとんど関わった事がないというのも原因ではないかと思うのです。こんな事を申し上げるのは大変恥ずかしいのですが、つまり、1年に1、2回、男性のいる場所に行く機会があると、チヤホヤしてもらえる事が多いにも関わらず、滅多にそのような機会がない為、自分の容姿に確信がもてないのではないかと……。このままだと、外見ばかり重視する、了見の狭い人間になってしまいそうで、なんとか考え方を変えなくてはと思っている次第です。 斎藤さんは、どう思われますか? よろしくお願いいたします。

Mさん、お返事がたいへん遅くなってしまい、本当に申し訳ございません。また何度も状況をうかがうことになってしまってごめんんなさい。

さて、Mさんは、周囲の人から見たら明らかに“美人”の部類に入る、とても可愛い人なのでしょうね。そして客観的に見て、キレイな人ほど、もっとキレイになりたがるのは確か。足を細くするエステなどにはもともと足が細めの人しか来ないと言いますし、美容整形を受ける人の多くも、直さなくても充分可愛いと言います。そして顔の整形の場合、1度どこかを直すと、どんどんエスカレートしていく人がとても多いと聞きました。ある有名大学の整形外科の先生は、そういうふうに手術を繰り返す患者さんのことを、“美しくなることに取りつかれてしまった女性たち”と表現し、こういう人たちにはまず心のケアをしてあげなければならないと本気でおしゃっていました。なぜ心のケアが必要かと言えば、たとえすべてを直しても、たぶん満足は得られずに、また苦しむことになるだろうから……。ある患者は、いわゆる美人顔のプロポーションに非常にこだわり、最初は目、次は鼻、次はアゴに頬と、ほとんどすべてを直したことで、しばらくは満足していたらしいのですが、何かつまらない顔になったと思いはじめ、今度は「個性を出したい」と言ってきたそうです。その女性は、医者から見ても、目を二重に見せた時がいちばんチャーミングで男性からも好かれる顔だったらしく、その時点で止めることができなかったことを医者として恥じているとも、おしゃってました。

人の顔は不思議なもので、美人のプロポーションに合っているからと言って、必ずしも人を魅了できるものではありません。自分では忌み嫌っている部分が、人の目から見たらとても魅力的だったりするものなのです。そして、人から見た魅力のカギになるのは何かと言えば、それはたぶん“愛らしさ”とか“愛嬌”みたいなもの。鼻が丸くても、少しくらい上を向いていても、男性にすごくモテる女性ってよくいますが、それも、“愛らしさ”につながるからだし、美人のプロポーションとはかけ離れていても、いつも笑顔の人は、“キレイな人”と思われていることが多く、これも“愛嬌=美しさ”だから。いわゆる美形であるより、愛らしい愛嬌のある顔をしていた方が、人生はずっと得なのです。そしてMさんのアゴがキュッと小さい顔は、その愛らしい愛嬌ある顔の典型であると思います。まわりから可愛いと言われるのは当然、愛らしく見える顔の要素をいっぱいもっているのですから。

なのに、それをキレイじゃないと決めつけているから、男性と関わっても、なかなか進展しない。たぶん、それ以上、相手に顔をよく見られたくないという想いがあるからなのでしょうね。人によく顔を見られたくないと思ったら、人付き合いなんて、とてもできません。これから社会に出ていって、初対面の人と山ほど合わなきゃならない時に、よく顔を見られたくなかったらおしまいです。女性には一時期、自分の顔が気になって気になって仕方がない時ってあるものですが、どんな人も鏡ばっかり見ていれば、満足していた部分もだんだん気に入らなくなっていくのがふつう。それで“人に見せたくない顔”を自ら作りあげて何になるのでしょう。アゴが小さく引っこんでるのは可愛い、その方が人に愛される……まずそういう自信を自ら築いて、堂々と人に接してください。そして愛らしさを売りにするのだから、笑顔を忘れずに。人と関わるのはすべて正面顔。横顔で人とお付き合いなんてできないのですから。横顔を気にしすぎは、人を遠ざけるばかりですよ。今は学生さんだから、1日の半分、顔のことを考えていてもすむはずですが、社会人になり、もっと大人になったら、そんなことにかまっていられないほど、いろんな体験をすることになるはずです。自分の顔がキライになる人生の一時期を早くのりこえて、本当の人生を早く始めてください。人生は決して決して、顔で決まるのではありません。心の持ちようや人とどれだけ深く関われるかで決まるのです。Mさんが、1日も早く、自分の顔を好きになれて、その愛らしい顔で人から愛されようとすることを願っています。お元気で。



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